◆工場見学

土岐市内の陶器工場は古くからの手作業で製品作りをする工場と、大量生産用の機械で生産する工場とあります。ヤマ次土本製陶所では、主に大量生産をしているのですが、部分的に手作業が行われています。順番にご説明しましょう!

























@成形
カップなどは大きな機械で自動で成形されます。 あっという間にカップの形ができてしまいます。写真左側の部分は下の石膏型部分が高速で回転しており、型にほぼ均一な厚みで土を押し付けて形が出来上がります。そして、ガチャンと右へ移動して型よりはみ出した部分を削り取ります。風で切り取られた土がカップの中に入らないようになっています。




A成形仕上げ
さっき成形されたカップが半乾きになって乾燥トンネルから出てくると、今度はカップの口元を拭く機械にのせられます。カップは回転し、スポンジ(黄色の部分)も回転します。そしてカップが載っている台もぐるぐるとこれまた回転して、次々とカップの仕上げをしていきます。そして仕上げされたカップは工員さんの手によってきれ〜いに並べられて、乾燥室へと入れられていきます。






B乾燥室
このタイプの全自動機(成形・仕上げ・乾燥までが流れ作業でできるようになっている大きな機械)は主にカップ類が多く、その他の形のものは他の方法で作られています。当社ではカップ類以外のものはこのような昔ながらの乾燥場に入れて乾燥させます。4畳分ほどの部屋で、もろ板(長い板)に製品をのせて棚にさし、下からガスであぶって乾燥させます。乾燥室といっても中に人は入らず、扉を開けて製品を出し入れします。

※もろ板の「もろ」ってなに?
「もろ」とは、昔の窯焼きの作業場のことを「もろ」と呼んでいました。そこで製品をずらりと並べて持ち運ぶための長い板のことを「もろ板」と呼ぶんですね。今でも窯焼きのほとんどが「もろ板」をつかっています。およそ20cmの幅で180cmもの長さの板で、片手で肩に担いで運びます。




C素焼き
粘土で成形されたカップを乾燥させて、それらを積み重ねて「素焼き」をします。「素焼き」は窯によって温度はまちまちですが、およそ800℃くらいで焼きます。そうすると粘土はもう粘土ではなくなり、ガサッとした植木鉢のもう少しやわらかいような質感のものになります。こうすることでその後の絵付けや釉掛けなどの作業がやりやすくなり、作業中や本焼成での失敗も少なくなります。






























D絵付け
素焼きからでてきた製品は一つ一つ絵付けされます。デザインによっては絵付けがされないこともあります。絵付けには様々な方法がありますが、昔からされているものに筆による手描きがあります。現在は印刷やスタンプなどを使用したものも多く、手描きと見分けるのも難しいほどの出来です。絵具には「呉須(ゴス)」と呼ばれる濃紺のものや、酸化鉄を使った「錆(サビ)」「鉄(テツ)」などといったものがあり、その他カラフルなものには顔料等が使用されます。


E釉掛け
素焼き後、絵付けをされた製品に釉薬をかけます。「釉薬」とは、やきものの表面についているガラス質のもの。とろとろの水溶き片栗粉のような釉薬の中に、先の製品を沈めてすぐに取り出します。すると、製品の表面にはほぼ均一に釉薬がついています。これを本焼成用の窯の中に入れて焼くと、ガラス質に変貌します。















F高台部分の釉拭きとり
全面に釉薬がかかっている製品を本焼成すると、窯の「棚板」に製品がくっついてしまいます。それを防ぐために、必ず高台(底の台の部分)の釉薬をはがします。釉掛けのあと、ベルト(緑色の部分)上を流れてくる間に、素地(素焼きされた製品本体のこと)が水分を吸うため、手で触れる状態になります。それをベルト状になったスポンジ(黄色い部分)の上でくるりと一拭きし、窯の前まで運んでいくための「もろ板」に移していきます。

G窯詰め
製品を本焼成のための窯に詰め込んでいきます。今度は釉薬が溶けてガラス質になっていくので、素焼きのようにかさねることが出来ません。一つ一つくっつかないように並べ、「棚板」という板で棚のように積み重ねていきます。棚板と棚板の間には「つく」と呼ばれるつっかい棒のようなもの(くの字になって並んでいる白い物体)が製品と一緒にならべてあり、棚板と製品の間には隙間が作ってあります。この時点での釉薬はまだ粉状の固まりなので、ちょっと硬いものが触れるとポロッとはがれてしまいます。慎重かつ丁寧な作業なうえに、スピードも要求されます。窯の大きさからすると体力はかなり必要です。

H本焼成
窯詰が終わったら、さあ本焼成です!大きいガス窯で1250℃くらいの温度で焼きます。今は温度計がついていますが、昔温度計がない時代には炎の色を見て温度を確認していたそうです。火をつけてから15〜20時間かけて焼成して、更に2日ほどさまします。


I窯出し
窯から製品を出します。作業が出来る程度に窯が冷めたら、窯詰めと逆の方法で窯出し(窯おこし)を行います。棚板をはずし、製品をまとめてサンテナに移していきます。ほら、こんなにかわいいサンタのカップが焼きあがりました。